草稿#20

ここからの景色はルネにとって、循環からの逸脱であり、検索からの逃亡であった。彼が線上の岸を沿う様に移動すとき、動くのは地平だ。伸長する音に合わせて彼は踊る。線を伸ばしていくために。

眠れない夜

眠れない。ガンで入院している。もう3週は経つだろうか。いつ終わるか待つだけの日々を過ごしている。

朝の儀式

われた 卵が殻は 生ゴミの中へ眺める 死んでいる 混ざり合う フライパンの上で 白身と黄身を昨日今日明日を 手に入れた 卵の中から 増殖してでも未来にはさほど 興味がなかった凍える朝も胃の痛む夜も 移り変わる太陽と ともに去っていく満たしてゆく 弾ける…

この生について

一本の枝を埋める 深く腐った枯葉で黒くなった土を掻き分け 私の見てきた木と最期の別れをする 再び彼は世界に舞い降りるだろう 母に抱かれて 朝の気配に 祝福と災禍も全て均等に 今日も始まる 虫は鳴き、赤ん坊が泣いている

春の冷気

軽音楽のような軽哲学を持ちたい

草稿 #19

Anjelita円いテーブルの上のカップに目をやった。そのカップをはたして誰が置いていったものか考えもしなかったが、彼女は席に着いた。誘惑、彼女は無意識に認めている、ここにいることを。誘惑に従うことを考えもせずに受け入れているのだ。

Autumn is season of death

私の島 私の領土 私の家 私の庭 それらに続くものに 私は権利を有しない 私は私の姿を 知ることができない 眩しき太陽 暗き闇夜 それらが いつからか 消えてなくなった 光は繁殖し 街中を照らし続ける 番犬のように 黒き者宿りし光 太陽は小さな点となって消…

草稿 #18

私の島、私の領土、私の家、私の庭、それらに続くものに私は権利を有しない。私は私の姿を知ることができない。眩しき太陽、暗い闇夜、それらがいつからか消えてなくなった、光は繁殖し、街中を照らし続ける。番犬のように。黒き者宿りし光、太陽は小さな点…

草稿 #17

搾取されるものは皆、マイノリティに片足を突っ込んでいる。巨大な人類は無闇にエネルギーを消費する。巨大な鯨は私の獲物ではない。過剰なコアは多くのエラッタを吐き出す。数種類の枝は新たな方向へ力能と線ーベクトルを伸ばす。長年の孤独が産み出したも…

darkside of darkness

考えることを止め 服を脱ぐ 素裸で歩く 誰の目も気にせず 人の目で 私は剥がされていく 皮膚の内側にある 肉が 肉の内側にある 種子が 明らかにしていくのは 私の思想でもなく 私の感情でもなく 私の無 私の無を 明らかにするために 私は素裸で走る 心臓の鼓…

草稿 #16

重たい頭を抱え思考する時間は言語的になりがちである。結び合う子供の欠落の縫合は、表面を癒着させることで行われる。癒着はいびつな傷跡を残すが確実に結合を果たす。横断的に思考を時間で測るなら断絶的な生物的死によって我々は必ず途上で身を捨てられ…

草稿 #15

層と線ー遠くから見れば線にしか見えなくても近づけば層になる 集団を作ることによって個を支配しようとする試みは、少年期によく見かけられる。個と個では大きな違いは現れなくても、集団ー徒党を組むことで優位に立つのである。マイノリティは個である。徒…

草稿 #14

元々、存在していないのである。私の言葉などというものはない。創造的な活動ではない。ただインプットをアウトプットするだけ。線形である。多相ではなく単相。秋の虫の鳴き声は、多相を織りなす。悠久の永久凍土も徐々に崩れていく。時間というものと存在…

草稿 #13

少しずつ失っていく、少しずつ死んでいく。果たしてこの道は続いているのか。それとも突然なくなってしまうのか。突如道に怪物が現れるかもしれない。無意識に自失は進み、さらに目の前の怪物に肉体を裁かれる。感覚の悪化、無感覚ではなく壊疽していくよう…

草稿 #12

崩落した壁。破られた膜。盛り土をも越えて、私を責める。だれが知ろうが知るまいが、私に下された決定は遂行される。八百万の神であろうとも世界に生まれた時、細い糸で紡がれた身である自己に、対抗する余力は残されてはいないのだ。空虚、あるいは真空に…

草稿 #11

孤独に耐えられないからこそ、己の内から出ようとはしない。幾重もの膜は、他の作り出したものであろうが、もう決して彼の力では破れなくなってしまっているのだ。言葉が記号に変化するとき、私はもう自失しているのか?悠然と眠る老女の傍で、私は不安に陥…

草稿 #10

ひよりひよりと受け流す。鎮痛薬に頼る日々、遠ざかるように世界を去ることは存外に難しい。易々と許されはしないのだ。どんよりと曇った空は太陽から身を守ってくれてはいるが、太陽の恵みは遮られたままだ。悪意のある粒子を潰すのだ。粉砕するのだ。砕け…

ほの暗い光

静かな海原の砂底に住むエビは 身を隠し、流れを待つ 草陰で 待つ 何も持たず 待つ 生きるために待つ 彼の光とは 何か、 長年の 血脈のうちに失われた眼 彼の見る光とは 何か 動き続ける世界 で、 動かずに

草稿 #9

私には絶望が待っている。孤独が待ち受けている。弱さゆえにいつも脅えている。言葉さえも自由ではない。隠喩さえも浮かばない。そんな余裕も知恵もない。ないのだ、持ち合わせていない。絶望、退路は断たれ、前方も崖である。形に囚われてはだめなのだ。無…

草稿 #8

求心するエネルギーは黒い穴に通じている。糸が垂れてもその糸を信じられない者もいる。しかし、死が眼前にあれば、だれもが豹変するでだろう。アウシュヴィッツ。過剰なものが世界を救うのか?(脱出するためには究めることだ)空腹に耐えながら歩き続けど…

草稿 #7

食虫植物は生い茂り繁殖する動物は新たな萌芽を迎える。孤独におびえる中年の男は、そのひ弱な肉体と虚弱な精神が苛烈な競争に敗北し、ひっそりと朽ち果てるのである。年老いた母の老いさらばえた悩みに己の無力さを痛切に感じ、そのままの生活は続かないと…

草稿 #6

明けの明星、世界に朝が訪れるとき、空虚に酸素が満ちてくる。過去を振り返り無き音の声を聞くことはない。死人は今を生きる者に写されているのである。長冗なる説明はいらない。私は私である前に何千という死人を見てきたのだ。それは暗部に触れてきた人間…

草稿 #5

そこに生まれてきたものへの殺意は、無限に拡大される。一定ではない宇宙であるならば、世界は普遍的とはいえない。有象無象の類はあれども世界にはある物しか観測されず、ないものなど確認する術はない。ポテンシャルの持つ意味とは能力である。力能である…

TKG

僕の食欲は異常だ。抗精神病薬を飲んでるのが大きいと思うのだが、とにかく食う。そのせいで糖尿病になるのが怖いので、食べるものには、気をつけている。納豆、柿の種、豆腐、そしてたまごかけご飯だ。日本の代表的ファストフードであるたまごかけご飯だが…

棲む

そろそろ食事の時間。

草稿 #4

適応を果たした彼らは生き残るのである。小さな甲虫は、世界を踏みしめている。小さき体に時間が濃縮されている。死が遠くにあるとき、生もまた遠い。死が近くにある時mまた生も近づいてくるのである。世界は遠近法にて私の充足を決定する。孤独のうちにあ…

草稿 #3

環境は人を狂わし、意識は変容する。その過程において躓きがあるならば、そこから転落していくことを逃れることはできない。異界からの言葉、日常の言説、世話、世間、非ー世間、懐かしい映画、孤独、神の使い、引き千切られた肉片、ハルジオン、銀、臭素、…

網戸から見える庭

草稿 #2

精神の不調もある意味肉体の不具合。しかし、そういっていられるのも幻覚、幻聴がないから、高揚や絶望に対して精神はある程度の制御の可能性を見出すが、制御不能の脳の暴走に対しては、抗精神病薬に頼らざるをえない。 生活に対する絶望的不安が創作の源泉…