草稿 #3

 環境は人を狂わし、意識は変容する。その過程において躓きがあるならば、そこから転落していくことを逃れることはできない。異界からの言葉、日常の言説、世話、世間、非ー世間、懐かしい映画、孤独、神の使い、引き千切られた肉片、ハルジオン、銀、臭素、天体、地上、我々の産まれた場所。なんの不思議なことはない、世界は目の前にあるのだから。疑問形で包まれた煩悩、根拠なき不安、立ち止まる、生まれた時に起こる疑問、吐き出された不満、満たされぬ器、酩酊した男が叫ぶ、殺してくれと。世界世界というが風景である。風景という語に置き換えてみるならば、世界はより表面的なものであることがわかる。ここにある薬、抗精神病薬ジプレキサという名前であるが、これが風景を変える。世界を変えてしまえるのである。ある異物が風景を侵食していく。これは世界が侵食されていくことと同義であるか?近傍にあるとは言える。しかし同義に等しいとは言い難い。風景が変わることが嫌な者は世界が変わることが嫌なのか。革命家は現状というものが構築されている状態を変えてしまったという抗しがたい欲望に取りつかれているのである。No quolity.No ability.kick kick kick.背にある風景に気を取られていると、目の前の世界を見失ってしまう。be ableに線を引く。記述される言葉には、規定された線がある。形を変えた線は意味を持ち、理解するものにとってはそれが何者かに成る。成るのである。空白。空白に置かれる文字が、形を持った絵が、牛が牛であるとする条件を残したならば、道に牛はいるのである。歩いているのである。私は邪念から構築されている。architecture.唯物的に物を語れるのなら私は現実を直視できるであろうが、邪という抽象物を意識する毎日にただただ脅え続けているのである。kickという語がkidに見えるとき、私は戸惑う。半ば強制的に終わらせられたtaskのように、私は崩壊してしまうかもしれない。もちろん過去のデータなども失われる。時間というものの持つ反面性、不可逆であるがゆえの残酷さが人々に恐怖を教えるのである。小さきものの叫びは団地に響く。私はチルドレン。複数形の私は町であり国であり世界である。二重の語は一つの舌から発せられる。作られ加工されるのである。無尽蔵。世界は破滅していない。明日が来る。不愉快にも奴は生きているだろう。優越な者だけが生き残る、世界を夢見る政治家は己の不具を理解していない。彼は自ら堀った穴に落ちるだろう。自ら作った王国の民に焼き殺されるのだ。その時に懇願しても遅い。時は過ぎ去ってゆく風景なのだ。世界が風景になるのだ。己の作り上げた世界が美しければ美しいほど、その残虐性は増す。彼はきっと許されないだろう。民はマイノリティであるかもしれないが、マイノリティは生き延びたのだ。