草稿 #11

孤独に耐えられないからこそ、己の内から出ようとはしない。幾重もの膜は、他の作り出したものであろうが、もう決して彼の力では破れなくなってしまっているのだ。言葉が記号に変化するとき、私はもう自失しているのか?悠然と眠る老女の傍で、私は不安に陥る、世界を論証するのではない。ただ救いというものが何であるのか探っているのだ。暗中で私はさ迷っている。何ものの光もなく、気配もなく、獣を捕らえるための罠のようなものもない。ただ拡がっている太陽なき地平をウロウロとさ迷っているのだ。裏切り、私は多くを裏切った。ゆえに苦難している。因果は応報にして難い。怖れ、何者の庇護も受けられなくなったとき、私は身を捨てることができるのだろうか。離脱、精神の統合、この相反する状態から遷移し、新たな身体へ移ることは可能であろうか。神話的文脈から産まれた数々の神が、たとえ一瞬でも、一ところへ集まったことなどないではないか。呼吸困難に陥ったとき、助けは遠かった。様々な薬剤も簡単には効果を表さなかった。精神による混乱は、果たして回復に辿り着けるのだろうか。私は間違っている。誰も責めはしないが、私は罪を犯している。お天道様はお見通しだ。ゆえに私には誰も声をかけない。寄らない。集落に作られた法に則って罰が下される。罰によって私は失われる。弱きゆえに許されていただけだ。たくさんの間違いを犯した。私の涙は薄汚い、汚れている。黒く錆びついた魂は清められることはない。世界の法則は非情だ。