草稿#20
ここからの景色はルネにとって、循環からの逸脱であり、検索からの逃亡であった。彼が線上の岸を沿う様に移動すとき、動くのは地平だ。伸長する音に合わせて彼は踊る。線を伸ばしていくために。
眠れない夜
眠れない。ガンで入院している。もう3週は経つだろうか。いつ終わるか待つだけの日々を過ごしている。
この生について
一本の枝を埋める
深く腐った枯葉で黒くなった土を掻き分け
私の見てきた木と最期の別れをする
再び彼は世界に舞い降りるだろう
母に抱かれて
朝の気配に
祝福と災禍も全て均等に
今日も始まる
虫は鳴き、赤ん坊が泣いている
春の冷気
軽音楽のような軽哲学を持ちたい
草稿 #19
Anjelita円いテーブルの上のカップに目をやった。そのカップをはたして誰が置いていったものか考えもしなかったが、彼女は席に着いた。誘惑、彼女は無意識に認めている、ここにいることを。誘惑に従うことを考えもせずに受け入れているのだ。
Autumn is season of death
私の島
私の領土
私の家
私の庭
それらに続くものに
私は権利を有しない
私は私の姿を
知ることができない
眩しき太陽
暗き闇夜
それらが
いつからか
消えてなくなった
光は繁殖し
街中を照らし続ける
番犬のように
黒き者宿りし光
太陽は小さな点となって消える
人類はマイノリティに過ぎない
いつかは
消えていなくなる
秋は死の季節なのだから
私に必要なことは
死ぬことである
死ぬことがなければ
何も得ることは
できないだろう
死の対価として
死と等価であるものとは
何なのか
それを
見なければならない
秋は死の季節なのだから